乳腺外科

ご挨拶

2016年乳腺外科創設以来、乳がんの検診、診断から治療全般はもちろん、がん治療の後遺症である腕のリンパ浮腫についても予防から治療までトータルケアを行っています。(婦人科がんや前立腺がんの治療後に生じる脚のリンパ浮腫についても対応いたします。)
症例経験の豊富な内視鏡手術、乳房再建、性同一性障害に対する診療に加え、陥没乳頭の悩みなど、バストのことならなんでもお気軽にご相談ください。

診療内容

乳がん検診

早期乳癌、とくに0期で発見された乳がんの治療成績は10年生存率がほぼ100%ですから、ほかのがんと同様に、乳がんも早期発見が重要であることは明らかです。早期発見にはマンモグラフィー検査がとても有用です。閉経前で乳腺密度が濃い場合には超音波検査が効果的な場合も多く、2つの検査を組み合わせると、互いの弱点を補うことができます。

※マンモグラフィーの被ばく量

日本人が一年に自然に被ばくする放射線量は1.5mSV(ミリシーベルト)、ちなみに世界の平均は2.4mSVでブラジルのある地域では10mSVといわれています。これに対して、マンモグラフィーを年に一度受けた時の被ばく量はわずか0.1mSVと、東京―ニューヨークを飛行機で往復(0.19mSV)するよりも少ないのです。「放射線」という言葉に敏感になりすぎず、正しく理解して必要な検診を定期的に受けましょう。

※豊胸術後の乳がん検診

豊胸術でシリコンインプラントが入っている方は、乳がん検診を敬遠しがちですが、インプラントのチェックをするためにも、乳がん検診は必要です。なぜなら、豊胸術に用いたインプラントは、時間の経過とともに劣化して破損することがあります。インプラントが破損して内容物が被膜ポケット内に流れ出たまま長期間放置しておくと、次第に身体の組織のなかに浸み込んでしまい、重大な健康被害を招くことがあるからです。インプラントが入っているのは、通常大胸筋の下なので、豊胸術後でもインプラントに負担をかけることなく、安全にマンモグラフィー撮影を行えます。エコー検査で、乳腺とインプラントの両方を丁寧に観察しているので、インプラントに破損があれば簡単にわかります。

乳がん

乳がんの概要

乳がんは乳腺の組織にできるがんで、多くは乳管から発生しますが、一部は乳腺小葉から発生します。乳がんの主な症状は、乳房のしこりです。ほかには、乳房にえくぼやただれができる、左右の乳房の形が非対照になる、乳頭から分泌物が出るなどがあります。
乳がんは、セルフチェックで見つけられないこともあるため、定期的に乳がん検診を受けることが大切です。乳房のしこりは、乳腺症など、乳がん以外の原因によっても発生することがあります。気になる場合には早めに受診をおすすめします。

乳がんの検査

乳がんの検査では、最初に、目で見て確認する視診と、触って確認する触診、マンモグラフィー、超音波(エコー)検査を行います。乳がんの可能性がある場合には、病変の細胞や組織を顕微鏡で調べて診断を確定します。また、乳がんかそうでないかを判断したりするためにMRI検査を行うこともあります。
超音波検査では、乳腺は白く、多くの乳がんは黒く写るため、マンモグラフィーで高濃度乳房とされる場合では、超音波検査の方が乳がんの発見に役立つことがあります。放射線による被ばくの心配がないため、妊娠中でも検査が可能です。
がんの広がり方や転移を調べるために、CT検査、MRI検査、骨シンチグラフィ、PET検査などの画像検査を行って治療方針などを判断していきます。

乳がんの治療

  • 乳房温存(乳腺部分切除)術

    腫瘍径が小さくて周囲への広がりもない限局性の早期乳がんであれば、乳房を全部切取る必要もありません。具体的にはしこりの周りに乳腺を1-2cmつけてくり抜く乳腺部分を切除し、術後に放射線治療を行うもので、乳房温存術と呼ばれます。わが国の乳房温存率は平均50~60%程度です(施設によってかなり差があります)。
    温存術には基本的に放射線治療もセットになっています。残った乳腺に放射線を当てて局所再発を防ぐためで、これによって局所再発率は約3分の1に減らすことができます。 
    ただし、がんの範囲やできた場所によっては、乳房を「温存」したからといって術後の整容性が十分に保てないこともあり(へこみやひきつれ等、変形することがあります)、「温存術」に固執すしたばかりに、術後乳房の形に悩まされる結果となることもあり得ますので、注意が必要です。

  • 乳房切除術と皮下乳腺全摘術

    病巣の範囲が広くて乳腺部分切除が適さない(変形が明らかな)場合には、乳腺組織をすべて切除することになります。通常の乳房切除術は、乳腺と乳頭・乳輪を含めて皮膚を広く切除しますが、病巣が皮膚や乳頭に達しておらず、乳腺の中にとどまっていれば、必ずしも皮膚や乳頭・乳輪を切除する必要はありません。このように乳輪・乳頭や皮膚を残して乳腺だけを摘出する方法を「皮下乳腺全摘術」といいます。

  • 乳房再建術

    乳房は外表にあり、女性にとってとても重要な臓器です。がんを治す(根治性)だけでなく術後の見た目(整容性)も配慮した手術が求められ、内臓器のがん治療とは大きく異なります。
    乳房再建には筋肉など自分の組織の一部をドナーとする方法と、人工インプラントを大胸筋の下に留置する方法があります。筋皮弁を用いた再建はインプラント法に比べて手術侵襲が大きく入院期間も長くなる傾向があり、対応する施設も限られていたので、乳房再建のハードルは概して高かったようです。そんななか、2013年から乳房インプラントを用いた乳房再建が保険収載されたことで、乳房再建はぐっと身近なものになりました。

    通常の乳房切除では皮膚も一緒に切除するため、乳房再建するためには組織拡張器とよばれる風船を大胸筋の下に留置して、生食水を注入しながら少しずつ皮膚と筋肉を伸ばしていき、後日インプラントと入れ替える手術を行います。

    さらに、医療用色素を用いて乳輪形成術(タトゥー)を行ったあと、乳頭形成術を加えて、乳房再建が完了します。乳頭の再建は皮弁を形成する方法と対側乳頭を移植する方法があります。

    一方、前述した皮下乳腺全摘術では皮膚は温存されているので、がんの切除と同時にインプラントを用いた乳房再建を一期的に行うことが可能です。

    乳房再建について

  • インプラントの入れ替え

    万一破損が見つかった場合は、インプラントの入れ替えが必要です。破れていないほうのインプラントも同程度古くなっているので、通常は両側とも抜いて新しいインプラントに入れ替えます。
    方法は、アンダーバストのしわに沿って4cm程度の皮膚切開をして、インプラントを取出し、被膜ポケット内にもれたシリコンジェルをすみずみまで回収してから、新しいインプラントを挿入します。傷は最初赤い線になり、そのあと白っぽくなってやがて傷とはわからなくなります(※治り方には個人差があります)。
    手術中静脈注射などで眠っていますが、終了と同時に目が覚めて術後は特に問題がなければすぐに帰宅できる日帰り手術です。

  • リンパ節郭清(かくせい)(切除)

    乳がん手術の際に切除の対象となるのは、乳がんができた側の脇の下のリンパ節で、からだの外側から順にレベルI,II,IIIに分かれています。以前は乳がんのステージにかかわらず、リンパ節をできるだけ広範囲に切除していましたが、乳がんの転移はまずみはり番のリンパ節(センチネルリンパ節)に転移が起こり、それから次第に深い部位のリンパ節に転移していくことがわかり、現在ではセンチネルリンパ節生検をして転移が陰性だった場合には、リンパ節切除は省略されるようになりました。

  • 良性腫瘍に対する内視鏡手術

    比較的よく見る良性腫瘍には、線維腺腫、乳管内乳頭腫、葉状腫瘍などがあります。若い女性にできる腫瘍はほとんどが良性で、最も頻度が高いのは線維腺腫です。良性ですが時に急速に増大し、10cm以上になることもあります。
    線維腺腫は、乳がんと違って正常乳腺に浸潤しないので、腫瘍を包んでいる被膜ごと摘出すればまず再発しません。乳房の内側にできたものや、大きく育ったものは乳房皮膚の真上に手術の傷がつくので、整容性を著しく損なう場合があります。
    内視鏡手術では、腕で隠れる脇から12mmの小切開でアプローチします。内視鏡下に腫瘍だけをきれいに剥離して、パウチに回収して体外に出すので術後の傷が乳房上に全くつきません。

午前 午後
吉田 -
古賀 -
小野 -
- 武谷
濱津 -
- -

ご利用ガイド

  • 当院を受診する

    当院への受診方法はこちら

  • 休日・夜間に受診する

    休日・夜間における診療の方はこちら

  • 入院・面会する

    当院へ入院が決まった方・面会される方はこちら

  • 在宅サービスをご利用する

    在宅サービスをご検討の方はこちら

  • 人間ドック・健診をご利用する

    人間ドック・健診をご検討の方はこちら