ご挨拶
フットケア外来では、日常的な足の観察・処置を行うことで糖尿病、動脈硬化などを治療中の方、血液透析を受けておられる方に多くみられる足病変を軽微なうちに発見し治療を行います。適切なケアを行うことで足を潰瘍や壊疽から守ります。
フットケア外来の主な対象疾患
- 糖尿病性潰瘍・壊疽
- 巻き爪・足白癬・タコ・ウオノメ・角質肥厚など
- 動脈硬化による血行障害が原因の下肢潰瘍・壊疽
- 足病変リスクをお持ちの方の定期的なチェック
- 静脈疾患による静脈瘤・うっ滞性潰瘍
フットケア外来で行っている主な検査
- ドップラー血流測定
- ABI(Ankle Brachial Index)脈波検査
腕の血圧と足首の血圧の比を測定することで血管の狭窄状態を調べます。検査時間は10分ほどで痛みは伴いません。 - SPP(Skin Perfusion Pressure)皮膚灌流圧測定
皮膚の表面から1~2ミリ程度内部にある毛細血管の血流や血圧を測定し、下肢虚血の重症度を評価する検査です。検査時間は5分ほどで痛みは伴いません。
検査結果を基に診断を行い、必要に応じて次の精密検査を行います。
- CTマルチスライス
- MRI新世代のMR装置に更新。造影剤を使わない血管造影が可能となります。
- DSA(Digital Subtraction Angiography)血管造影
フットケアの方法
- 観察
足の状態を観察し、足病変の早期発見を行います。 - 足浴
皮膚を清潔に保ち、血行を良くします。 - 処置
角質除去・爪切りなどを行い皮膚のトラブルを防ぎます。 - 保湿
角化・乾燥を防ぎます。
虚血性皮膚潰瘍・壊疽とは
末梢動脈が狭窄や閉塞のために下肢虚血をきたし虚血が徐々に進行すると、歩行時の下肢の痛み(間欠性跛行)、安静時の足疼痛が起こり、さらに悪化すると皮膚潰瘍、壊疽をきたします。
糖尿病・血液透析とフットケア
糖尿病は血行障害や神経障害を伴うため傷が治りにくく、また傷があっても痛みを感じにくいため放置しているうちに傷から感染し、壊疽が進行してしまいます。また足変形が起こりやすいのでタコやウオノメができやすく、これが壊疽の始まりになることが知られています。透析患者さんでは、動脈硬化から血行障害を起こしやすく、足の皮膚が乾燥しやすいためひび割れなどで感染を起こし壊疽へと急激に進行することがあります。
治療方法
- 血管内治療(バルーン拡張術・ステント留置)
血管内治療とは、狭窄・閉塞している部位に経皮的に治療用カテーテルを挿入し、血管の狭窄および閉塞部を拡げる治療をいいます。低侵襲性なので、施行翌日から歩けるようになり、歩行距離も大幅に伸びるなど、QOL(Quality of Life)向上の効果が高い治療法です。 - バイパス手術
動脈が長く閉塞しているときや、血管が完全に閉塞してカテーテルによる治療が困難な場合には、人工血管や自家静脈を利用してバイパス手術を行います。 - 下肢切断
下肢の壊死が重傷で、内科的治療や外科的治療による血行再建が不可能な場合に、救命を目的として切断が行なわれます。しかし、切断後は日常生活動作やQOLの低下が著しく、生命予後も悪いことから、早期の適切な治療と管理による下肢切断の回避が重要です。
足病変を起こすシグナル
- 足がしびれる
- 足に水虫がある
- 足が痛い(安静時・運動中)、冷える
- 爪が厚くなって、爪切りに困る
- 足がよくむくむ
- ときどき足にやけどをする
- 足の皮膚が乾燥し、ひび割れがある
- 目がみえにくい
- まめや靴ずれがある
- タバコを吸っている
- 靴の中の小石に気付かないことがある
- 血糖コントロールが良くない
- タコ、ウオノメがある