血管外科センター

ご挨拶

患者さんの足の健康を守るべく整形外科、糖尿病内科、腎・透析内科、循環器内科と連携し、多面的専門的治療を実現しております。
また、フットケアも行っており、足病変の早期発見・治療、定期的な足の状態チェックや処置など、予防的、長期的処置への対応も可能です。なにかお困りのことがありましたら、お気軽にご相談下さい。

診療内容

当院では患者さんの負担が少ない低侵襲治療を中心に治療計画を検討しており、透析患者さんのシャント作成から狭窄や閉塞などのトラブルに対応しております。
糖尿病や高脂血症などの生活習慣病に併発しやすい下肢閉塞性動脈硬化症に対しては、血管内治療を中心のバイパス手術、フットケアでは血管の病気を早期発見し、治療後のフォローも致しております。
また、足に血管がボコボコと浮き出てくる下肢静脈瘤に対してのラジオ波焼灼術や硬化療法も行っております。

下肢閉塞性動脈硬化症

概要

下肢閉塞性動脈硬化症は、足の血管の動脈硬化により血管が狭くなったり、詰まったりする病気です。足への血流が悪くなることで、足に栄養や酸素を十分に送ることができなくなるため、さまざまな障害が表れます。動脈硬化とは、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病や喫煙習慣によって血管の変性が引き起こされる状態です。血管の内側の壁が傷ついて、そこにコレステロールなどが沈着することで、粥腫(じゅくしゅ)と呼ばれるこぶができ、血管が狭くなります。その粥腫が破裂することで血栓ができ、急激な血流低下から血管の閉塞を生じることもあります。

下肢閉塞性動脈硬化症の症状は、段階によって大きく4つに分けることができます。

  • 冷感・しびれ感
    指が青白くなることもあります。
  • 間欠性跛行(はこう)
    一定距離を歩いた時に、主にふくらはぎなどが締め付けられるように痛くなり、休まないといけなくなります。歩ける距離が短いほど重症となります。
  • 安静時疼痛
    じっとしていても足が痛んだり、夜も眠れなくなったりするなど、刺すような痛みが持続することもあります。
  • 潰瘍・壊死(えし)
    治りにくい潰瘍ができたり、黒く壊死したりすることがあります。

検査について

  • ABI検査(上腕・足関節血圧比)
    両腕と両足の血圧を同時に測り、比率から判別する検査です。通常は足の血圧の方が高いため、比率1.0以上が正常値となりますが、足の血流に異常があると1.0未満となり、特に0.9未満となれば下肢閉塞性動脈硬化症の可能性が高くなります。
  • 下肢動脈エコー(超音波)検査
    エコー(超音波)にて映像を観察して行う検査で、特に太ももの付け根から下の血管は観察がしやすく、この検査に適しています。
  • 造影CT検査
    体の中を詳しく描出したり、病気を発見しやすくしたりするお薬(造影剤)を注入し、下肢動脈が造影されたところで撮影を行います。造影剤を使用しますので、腎臓の機能が悪く、まだ血液透析を施行されていない方には不向きです。
  • 下肢MRA検査
    造影剤が使用できない患者さんに用いる検査で、造影CT検査と比較すると解像度は劣りますが、非造影で行うことができるのが利点です。
  • カテーテル検査
    足の付け根や腕などの太い動脈からカテーテル(医療用の細い管)を挿入して、カテーテルから血管を描出しやすくする造影剤を流し込むことで、「下肢動脈の状態を詳しく調べる」検査です。カテーテル検査は閉塞が生じている部位や程度などの詳細が分かることが多く、治療方針を決める上でも重要です。

治療について

  • 運動療法
    歩行などの運動を行う治療です。特に間欠性跛行(かんけつせいはこう:歩行時にふくらはぎなどの筋肉が痛み、歩き続けることができない状態)の患者さんに有効です。運動療法には大きく2つあり、病院で行うものと自宅で行うもので、1回30分程度、できれば1日2回を目標に、最低でも週に3回程度は運動療法を行うことが好ましいです。
  • 薬物療法
    「抗血小板剤」(血液をサラサラにする薬)や「末梢血管拡張薬」などを服用することで症状の改善を期待できる場合があります。
  • カテーテル治療
    カテーテルを用いて、閉塞している部位を「バルーン(風船)」で膨らませて拡張していく治療や、血管の広がりを維持する効果のある「ステント(網目状の筒)を挿入する」といった治療を行います。
  • バイパス手術
    血管が狭くなっているところや詰まっているところの先に、自分の血管(足の静脈)や人工血管をつなぎ合わせて血流のう回路を作り、末端まで血流を巡らせるようにする手術です。

下肢静脈瘤

概要

下肢静脈瘤は足の“血管”の病気です。足の静脈が太くなって瘤(こぶ)状に浮き出て見えるようになった状態を下肢静脈瘤といいます。自然に治ることはない病気で、足にこぶの様な血管が目立つ見た目になったり、だるさやむくみなどの症状が日常的に起こり、生活の質が悪化します。重症になると、湿疹ができたり、皮膚が破れたり(潰瘍)、出血をおこすことがあります。
下肢静脈瘤は、40歳以上の女性に多く認められ、年齢とともに増加していきます。また、出産経験のある女性の2人に1人、約半数の方が発症するというデータ(※)もあり、身近な病気です。
※平井正文,牧篤彦,早川直和:妊娠と静脈瘤 静脈学:255-261, 1997

おもな症状

  • 足の血管が目立つ、浮き出て見える
  • ふくらはぎがだるい、重痛い、疲れやすい
  • 足がむくむ、むずむず感・不快感がある
  • ふくらんでいる血管が熱くなる、ピリピリする
  • 寝ているとき、明け方につる
  • ふくらはぎに湿疹ができる、くるぶしの上が茶色になる
  • くるぶしの上に潰瘍ができる

検査について

エコー(超音波)検査

エコー(超音波)にて映像を観察して行う検査で、ゼリーをつけて体の表面から静脈の状態を調べます。立ったまま行う検査で、体への負担がなく痛みがないため繰り返し行うことができ、血液の流れが見えるので静脈弁の異常があるかどうかが正確にわかります。

治療について

下肢静脈瘤の治療は、病気の進行度によって変わります。

  • 弾性ストッキングを使う圧迫療法
    弾性ストッキングは医療用のストッキングで、足首側の圧力が一番強く、上に行くに従って段階的に圧が弱くなる設計で、あしに適度な圧力を与えることで、余分な水分がたまることを予防して、血液の流れを助け、静脈の働きを補助します。下肢静脈瘤に対して使用すると、治るわけではありませんが、病状の進行を遅らせ、現状維持を目指すことが可能となります。逆流はあるが、治療を受けるほどではない方におススメです。
  • 注射で静脈を固める硬化療法
    下肢の静脈瘤に薬を注射して固める治療です。固めた血管が硬くなることから硬化療法と呼ばれています。硬くなった静脈は、半年ぐらいで吸収されて消えてしまいます。外来で行うことができます。
    硬化療法は軽症の下肢静脈瘤には有用性の高い治療法ですが、進行した静脈瘤には治療効果が期待できない場合もあります。
  • 手術

    1. 血管をしばる
      「高位結紮術(こういけっさつじゅつ)」

      足のつけ根で血管をしばって、血液の逆流を食い止める手術ですが、新しい治療法の開発にともない現在では実施件数は少なくなっています。
    2. 血管を引き抜く「ストリッピング手術」
      ストリッピング手術は、足のつけ根と膝の内側の2ヶ所を1~3cmほど切って、静脈の中に細い針金(ワイヤー)を入れてワイヤーごと静脈を抜き去る方法です。病気のある血管を全て取り除いてしまうため、高い治療効果が期待できますが、血管内治療に比べて傷口が広く体への負担が大きいため、回復までに時間がかかったり、手術後の「痛み」や「出血」などのリスクがあるとされています。
    3. 血管内焼灼(しょうしゃく)治療・
      ラジオ波焼灼術

      血管内焼灼治療は、静脈を焼いてふさいでしまう治療です。細い管(カテーテル)を病気になった静脈の中に入れて、内側から熱を加えて焼灼します。焼いた静脈は、治療後半年ぐらいで吸収されてなくなってしまいます。局所麻酔で細い管を差し込むだけなので、場合によっては日帰りも可能な体に負担が少ない低侵襲治療です。

透析シャント狭窄
(きょうさく)・閉塞(へいそく)

概要

シャントが何らかの原因によって狭くなったり、閉塞したりしてしまうことがあります。これを「透析シャント狭窄」「透析シャント閉塞」と呼びます。透析シャント狭窄・閉塞を引き起こす原因のひとつとして、静脈に高い動脈圧がかかることが挙げられます。
動脈はもともと血流量も多く頑丈にできていますが、静脈は動脈に比べて脆弱なため、動脈からの速いスピードで流れ込んできた血液が直接当たり、静脈にとっては大きなストレスとなってしまいます。このストレスに耐えきれず、シャントが狭窄したり、閉塞したりしてしまいます。

また、血液や体液、細胞などの採取のために、体外から血管、体腔内、内臓に針を刺すこと(穿刺(せんし))によるストレスも透析シャント狭窄・閉塞を引き起こす原因となります。通常、血液透析は週に3回行われ、その度に血液を抜くための脱血用の針と、血液を戻すための返血用の針を静脈に穿刺します。繰り返される穿刺が静脈にとってストレスとなり、透析シャント狭窄や閉塞が起きてしまうことがあります。

検査について

透析シャント狭窄・閉塞が起こると、血液透析中に痛みを感じることがあります。また、聴診器でシャント音を確認すると、シャント音が小さくなる、狭いところを血液が流れるために高調音になる、音が途切れて聞こえるなどの異変がみられることがあります。
また、シャントの血流量が減少するために、シャント部分の盛り上がりやハリがなくなっている場合やシャントが硬くなってきた場合も、透析シャント狭窄・閉塞を疑います。

治療について

  • 経皮的血管形成術(PTA)
    シャント内にバルーンカテーテルを入れてふくらませ、狭窄・閉塞を解消する手術です。局所麻酔で行うことができ、症状によっては30分程度で日帰りでできる場合もあります。血栓を取り除いたり、血栓溶解剤で溶かす治療を同時に行うこともあります。皮膚切開はせずにカテーテルの針を刺すだけで行えます。再発した際にも繰り返しシャントPTAの治療が可能です。
  • 血栓溶解療法+経皮的血管形成術(PTA)
    血栓を溶かす溶解剤を閉塞した部位に注入し、血管をマッサージして溶かしていきます。溶けて血流が再開したら経皮的血管形成術(PTA)を実施する手術です。
  • 血栓除去術+経皮的血管形成術(PTA)
    血栓除去用の風船で血栓を掻き出していきます。掻き出し終わって、血流が再開したら経皮的血管形成術(PTA)を実施する手術です。
  • シャント再建(狭いところのすぐ上でシャントを作り直す)
    狭窄や閉塞の具合などによっては、閉塞したところのすぐ上でシャントを作り直す手術を行うこともあります。
  • 理事長庄司 哲也 しょうじ てつや

    専門分野 血管外科、外科一般
    資格・認定・学会 日本外科学会専門医 医学博士
    出身大学 九州大学第二外科
    一言コメント

    患者さんのニーズにお応えできるよう、心がけております。

  • 血管外科センター医及川 圭祐 おいかわ けいすけ

    専門分野 一般外科、消化器外科
    資格・認定・学会 フットケア指導士
    出身大学 福岡大学消化器外科
    一言コメント

    患者さん、医療者のお互いが納得できる医療を心がけております。

午前 午後
庄司 及川
(フットケア)
(褥瘡外来)
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庄司 -
- 及川
(フットケア)
(褥瘡外来)
庄司 -
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