ご挨拶
消化器センターは、消化器内科と消化器外科から成り、診断から治療(内視鏡的治療、外科手術、抗がん剤治療)、緩和ケアに対する医療を行っています。消化器内科医、消化器外科医が中心となり、看護部、放射線科、臨床検査科、リハビリ科と連携を取りながらチーム医療を行っています。
検査では、患者さんが楽に安心して検査が受けられるように「経鼻内視鏡」を導入しており、これまでの経口内視鏡の太さ(約10mm)と比較し、経鼻内視鏡は5〜6mmの太さで、より負担の少ない検査を心がけています。また、希望に応じて内視鏡検査前に鎮静剤を使用することで、検査に対する不安を減らすようにしております。
手術では腹腔鏡手術を積極的に導入しており、日本外科学会指導医・専門医、日本消化器外科学会指導医・専門医を中心に可能な限り身体の負担の少ない鏡視下手術を行うようにしています。しかしながら手術は安全に行うことが最も重要であり、無理に行う鏡視下手術は、身体の負担が少ないどころか、大きな合併症につながることもあり、とても危険であると考えています。ある患者さんにとっては、鏡視下手術よりも開腹手術の方が低侵襲で、メリットが高くなることもあります。すべてを鏡視下手術で行うことが良いこととは考えていません。
当院では、およそ80%を鏡視下手術、20%を開腹手術で行っています。過去に手術を行ったことのある患者さんや、高度肥満の患者さんにとっての鏡視下手術は、一般的に難易度が上がり、危険を伴うこともあるといわれています。しかし、手術既往のある患者さんや肥満のある患者さんだからこそ、鏡視下手術が力を発揮することもあります。手術方法については、開腹手術と鏡視下手術の両方の経験豊富な外科医に意見を求めることも大事なことではないかと思います。
診療内容
- 消化器外科
悪性疾患である胃癌や大腸癌、肝臓癌、胆嚢癌、膵癌など腹部の臓器に対する手術を行っています。他にも、良性疾患である胆石や鼠径部ヘルニア、虫垂炎、腸閉塞などに対する手術や、近年は症例が増加している経口摂取困難患者さんに対する胃瘻造設も行います。
- 消化器内科
内視鏡(大腸カメラ)による低侵襲な手術を積極的に行っています。大腸ポリープ、大腸癌などをメインに治療しています。内科的手術以外にもピロリ菌に対する除菌治療、逆流性食道炎に対する内服治療、急性腸炎や憩室炎などの診療も行います。
- 検査
上部消化管、下部消化管に対し特殊光色彩強調機能を用いた上部・下部内視鏡検査を行っています。希望に応じて鎮静下での施行も可能です。鎮静剤を使用することで患者さんに苦痛を伴うことなく検査が可能です。胆膵疾患に対して内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査(ERCP)を行い診断・治療を行っています。
- 手術
消化器に関する手術全般を行っています。
良性疾患:
胆石、急性虫垂炎、鼠径ヘルニア、腹壁ヘルニア、大腸ポリープ、痔核、腹膜炎、胃瘻造設など悪性疾患:
胃癌、大腸癌、肝臓癌、胆嚢癌、膵癌など当院では、身体の負担の少ない治療として、腹腔鏡手術を積極的に導入しています。
- 手術以外
憩室炎、憩室出血、腸炎、腸閉塞などの診療を行っています。
- 救急対応
消化器外科医と消化器内科医が連携し迅速に対応し、診断・治療いたします。
症例:吐血、下血、上部消化管穿孔、急性胆嚢炎、急性胆管炎、急性膵炎、急性虫垂炎、腸閉塞、下部消化管穿孔等 - 内視鏡的治療
- 腫瘍(癌など)に対する内視鏡的治療
内視鏡的粘膜切除術(EMR)、コールドポリペクトミー、消化管ポリープ手術 - 進行癌に対する内視鏡的治療・緩和治療
内視鏡的胆管膵管ドレナージ(ERBD、ERPD)
膵臓癌、胆管癌に対する閉塞性黄疸に対する治療(ERBD,PTCD,PTGBD,胆管ステント留置) - 消化管進行癌に対する消化管金属ステント留置術
- 良性疾患に対する内視鏡的治療
消化管出血止血術
総胆管結石症に対しての内視鏡的乳頭切開術(EST)
食道静脈瘤治療(EIS) - その他の治療
肝臓癌に対する肝動注化学塞栓療法(TACE)
- 腫瘍(癌など)に対する内視鏡的治療
- 鏡視下手術
胃癌、大腸癌に対してガイドラインに基づいて正確な診断、治療を行います。主に早期の胃癌に対して、大腸癌は基本的にすべての症例に対して行っています。また、胆石症、鼠経ヘルニア、急性虫垂炎等の良性疾患に対しても鏡視下手術を行っています。
- 集学的治療
がん化学療法や緩和ケア、難治性腹水に対する腹水濾過濃縮静注法(CART)を行っています。
- がん化学療法
がん化学療法は、外来化学療法室や入院での加療となります。 - 緩和ケア
緩和ケアでは、がんに伴う痛みや様々な症状に対する治療を行っています。医師、看護師、栄養士、理学療法士・作業療法士、薬剤師、ソーシャルワーカーがチームとして関わり、症状に対する治療だけでなく、食事面や療養環境に対するサポートも行っています。
- がん化学療法
胃癌
概要
胃癌は大腸癌に次いで日本人に多い癌であり、およそ男性の9人に1人、女性の19人に1人が一生に一度は胃癌にかかると言われています。しかし、早期発見によって治りやすい癌であり、超高齢社会のため胃癌になる方が増えているにもかかわらず、胃癌で亡くなる方は減ってきています。平成30年の全国集計によると、胃癌と診断された方の約27%が内視鏡切除、約22%が外科切除を受けておられます。
胃癌の原因のほとんどがピロリ菌と言われており、ピロリ菌除菌によって胃癌を予防できると考えられています。除菌後も胃癌のリスクは残るため、毎年の上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)が勧められています。
早期発見なら、内視鏡切除が多く、進行していれば外科切除が必要になります。転移があるなどで切除ができない場合は、薬物療法で予後の改善をめざします。
検査について
胃癌が疑われた場合には、まず、「癌かどうかを確定するための検査」を受けます。癌であることが確定した場合には、治療方針を決めるために、「癌の進行度を診断する検査」を受けます。
まず、病変の有無や場所を調べるために、内視鏡検査やX線検査(バリウム検査)などが行われます。内視鏡検査で胃の内部を見て癌と疑わしい部分をつまんで切り取り、病理検査で胃癌かどうかを確定するための生検を行います。
治療方針を決めるための進行度を診断する検査では、癌の深さや、胃から離れた臓器やリンパ節などへの転移、胃に隣り合った膵臓すいぞう、肝臓、腸などの臓器への広がりを調べます。そのために、通常は、造影剤を使ったCT検査が行われます。MRI検査やPET検査が行われることもあります。
胃癌の進行度
T1:癌が粘膜、粘膜下層にとどまっている
T1a:癌が粘膜層にとどまっている
T1b:癌が粘膜下層にとどまっている
T2:癌が筋層に入り込んでいる、あるいは浸潤している
T3:癌が筋層を超えて漿膜下組織に浸潤している
T4:癌が漿膜を超えて胃の表面に出ている
T4b:癌が胃の表面に出た上に、他の臓器にも癌が広がっている
治療について
治療は、癌の進行度に応じた標準治療を基本として、ご本人(ご家族)の希望や生活環境、年齢を含めた体の状態などを総合的に検討します。
胃以外の臓器やリンパ節への転移がなく、癌の深達度が粘膜層までの場合は、内視鏡治療(内視鏡的切除)が中心となります。癌が粘膜下層に達しているときは、手術を検討します。
手術では、胃の部分や全部切除を実施、手術後には、切除した病変の病理分類を行い、必要に応じて薬物療法(化学療法、内分泌療法(ホルモン療法)、分子標的療法など)を実施します。
転移がある場合には、状況によって薬物療法や放射線治療、姑息的手術などの治療法を検討します。
スキルス胃癌
胃癌の種類の中には、胃の壁や組織を厚く硬くさせながら染み込んでいくように広がっていくタイプがあり、これを「スキルス胃癌」といいます。早期のスキルス胃癌は、通常の胃癌とは異なり、潰瘍などの病変を作らないため、内視鏡検査で見つけることが難しいことから、症状が現れて見つかったときには進行していることが多く、治りにくい癌です。
胃癌全体の7%、進行胃がんに限定すると15%がスキルス胃癌と言われており、手術ができる段階で発見されたとしても5年生存率が15~20%と、胃癌全体の実測生存率の61.5%(2010-2011年)と比べるととても低い状況にあります。
大腸癌
概要
大腸癌は、大腸の粘膜という内側の表面をおおう膜から発生します。だんだん大腸の深い層へと広がり(浸潤といいます)、大きくなると大腸の外側にはみだして、周辺の臓器まで浸潤することもあります。
大腸癌は毎年増加している癌の一つです。死亡者数では男性で肺癌、胃癌についで第3位、女性では第1位、男女合わせると肺癌に次いで第2位の癌です。癌になられる方の数では男性で前立腺癌、胃癌についで第3位、女性で乳がんに次いで第2位、男女合わせると第1位の癌であり、国内で最も重要な癌の一つです。(厚生労働省令和元年(2019)人口動態統計月報年計(概数)の概況/悪性新生物<腫瘍>の主な部位別に見た死亡数より参照)
早期の段階ではほとんど自覚症状はありませんが、大きくなると血便(便に血が混じる)、下血(肛門から出血する)、下痢と便秘を繰り返す、便が細くなる、腹痛、腹満感、貧血、体重減少などの症状が現れます。血便、下血といった症状が出たときに痔などの病気によるものと思って放置すると、癌が進行してしまいますので、早めに検査を行って早期発見することがとても重要です。
検査について
- 大腸癌検診:免疫学的便潜血検査
早期に大腸癌を発見できるように便検査による大腸癌検診を行っています。40歳以上の男女に毎年の便検査が推奨されています。約7%が陽性となりますが、陽性の方には精密検査として内視鏡検査が必要となります。陽性の方の約3%で大腸癌が発見されます。症状がなく検診で発見された大腸癌は、症状が出現してから発見された大腸癌よりも治癒率が高いことがわかっています。早期発見・早期治療が可能となるため、便検査による大腸癌検診を強く推奨します。 - 内視鏡検査
おしりから内視鏡を大腸に挿入して大腸内を観察する検査です。癌を直接観察できる上、組織を採取して病理検査に提出することができます(生検といいます)。大腸の検査としては最も精密な検査です。大腸癌が疑われるものについては、最新の内視鏡技術(NBI;Narrow Band Image、拡大内視鏡検査)によって診断を行い、治療方針を決定します。 - 注腸検査
おしりからバリウムなどの造影剤という薬を注入してレントゲンを撮ります。腸の形をみることで癌の場所や大きさ、形などを調べることができます。 - CT検査
体を輪切りにした画像を作成して体内を立体的に精密に調べる検査です。癌の大きさ、広がりのほか、リンパ節転移や肝臓、肺などの遠隔転移の有無について検査することができます。病気の進行度を調べるために必ず実施する検査です。 - 大腸CT検査
炭酸ガスで大腸を膨らませてからCTを撮ることで大腸の内腔を内視鏡と同じようにみることができる検査です。内視鏡のような苦痛がないというメリットがある一方で、生検やポリープの切除はできないなどのデメリットもあります。 - MRI検査
肝臓や骨盤内の癌の精密検査などを目的に行います。検査時間が少しかかりますが、直腸癌の周囲への広がり具合や小さな肝転移の有無などCTよりも正確な情報を得ることができます。 - PET検査
CT検査やMRI検査では病変の形をみて診断しているのに対してPET検査ではブドウ糖の代謝などの機能をみることができます。これにより悪性の病変にだけ色がついて見える(異常集積といいます)ため、病変の性質も同時に知ることができます。病変の良悪性の鑑別にとても有用な検査です。また、全身を一度に調べることができるため、他の臓器にも癌があるかどうかも調べることができます。
治療について
内視鏡的治療
- コールドスネアポリペクトミー(CSP)
日帰り手術となります。10mm未満の良性ポリープに対しての治療となり、金属の輪(スネア)で把持しながら切除します。この方法では、電気を使わずに切除しますので、治療後の傷は小さく傷は治りやすく、治療後の出血は少ないです。 - 内視鏡的粘膜切除術(EMR)
1~2泊の入院となります。10~20mmの良性ポリープや早期大腸癌に対しての治療となります。病変の下にヒアルロン酸ナトリウムを注射し壁を厚くして、病変を高く盛り上げて金属の輪(スネア)で把持しながら電気を使い、通電して熱凝固しながら切除します。切除後には止血目的でクリップをします。
偶発症として穿孔(0.1%)や後出血(1%)があります。内視鏡的治療で完治したかどうかは、切除した病変は病理組織診断を行い判断します。癌が残っている恐れがあれば、外科手術を追加します。
外科的な治療方法
手術では、癌そのものを切除するために前後の腸管も5から10cm程度含めるように切除し、同時に癌の周囲のリンパ節も切除します(リンパ節郭清といいます)。
当院では専門医を中心に患者さんにとって最も有効かつ低侵襲な(体の負担が少ない)治療を行っています。
- 腹腔鏡手術/開腹手術
以前は約30センチ程度の切開を行って開腹手術を行っていましたが、現在は腹腔鏡を使った手術が主流となっており、約5センチ程度の小さな傷で行えることが多くなっており、開腹して行う手術よりも身体の負担が少なく社会復帰も早い特徴があります。
癌の進行度によっては開腹しての手術も実施する場合があります。 - 肛門温存手術
肛門に近い下部直腸の癌では永久的な人工肛門となることが多かったのですが、肛門を残す手術が発達したことで現在は永久的な人工肛門となることは少なくなっています。特に早期の直腸癌ではほとんどの場合、肛門を残すことが可能となりました。括約筋間直腸切除術の導入や抗癌剤、放射線治療で癌を縮小させてから手術を行うといった取り組みにより、肛門を温存できる場合もあります。 - 集学的治療
進行した状態の患者さんに対して、抗癌剤や放射線などの手術以外の治療方法と手術を組み合わせて治療を行うことで手術の治療成績を向上させる治療を集学的治療と呼びます。
肝臓癌
概要
肝臓癌は肝臓の中に発生する癌です。代表的な癌は以下のように分類され、治療法が異なります。
- 肝細胞癌:肝細胞が癌になる
- 肝内胆管癌(胆管細胞癌):胆管細胞が癌になる
- 混合型肝癌:肝細胞癌と肝内胆管癌が混ざった癌
- 転移性肝癌:他の臓器の癌が肝臓に転移する
これらのうち、「肝細胞癌」が最も多いです。
C型肝炎、B型肝炎、自己免疫、アルコール、肥満、糖尿病などが原因になります。肝臓の炎症が長期間持続し、壊死、再生を繰り返すと慢性肝炎、肝硬変になります。そのときに遺伝子の変異が起こり、癌を発生すると考えられています。高齢者や男性に多い傾向にあります。
肝臓の中に癌がとどまっている場合、自覚症状はほとんどありませんが、癌が進行すると腹部膨満感、しこり、痛みを感じることがあります。また肺や骨に転移し進行すると、息苦しさや痛みを伴います。
検査について
肝臓癌の検査は、超音波検査(エコー)やCT検査、MRI検査などで行います。
早期発見を行うための検査としては、健診での定期検査おすすめしています。検査の頻度は肝障害の程度によって異なりますが、肝硬変や肝硬変に近い状態の患者さんや肝癌の治療経験がある患者さんは、発癌リスクが高いため、3~4ヵ月ごとの画像検査や腫瘍マーカー検査(AFP、PIVKA-II)が望ましいです。
治療について
肝臓癌の治療は、肝癌診療ガイドラインに基づき治療を行います。癌のステージ(進行の程度)と肝機能(肝予備能)のバランスによって、治療方法を決定します。
手術が可能であれば、肝切除が基本になりますが、肝硬変で肝機能障害が進行している場合、癌が多発している場合、心臓や肺に持病がある場合などは、手術よりも負担の少ない内科治療を選択することもあります。
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ラジオ波焼灼療法(RFA)・マイクロ波凝固療法(MWA)
癌が比較的小さく、数が少ない場合(3cm以下、3個以下)に適応になります。超音波検査(エコー)で観察しながら局所麻酔を行い、皮膚と肝臓を通して癌に電極針を挿入し、熱を発生させることで癌を壊死させ治療します。
1ヵ所の癌の焼灼時間は10分前後ですが、癌の大きさによっては複数回の穿刺、焼灼が必要な場合があります。十分に壊死させることができれば、肝切除に匹敵する治療効果があるとされています。治療後数日で退院可能です。
※合併症:痛み、出血、発熱、腹膜炎、癌の破裂や散布、胆管障害、血管障害、気胸、感染症(胆管炎、膿瘍形成、敗血症など)、胸水、腹水、皮膚熱傷、消化管や胆嚢などの隣接臓器の損傷、ショックなどがありますが、重篤な合併症を起こすことは稀です。癌が完全に壊死していない場合、同じ場所に再発する可能性があるため、十分な焼灼範囲が得られるように注意して治療を行う必要があります。 -
肝動脈化学塞栓療法(TACE)
癌が多発している場合や、癌が大きい場合に適応になります。血管造影室で治療を行います。皮膚に局所麻酔を行い、足の付け根の動脈(大腿動脈)にカテーテルを挿入します。血管を造影しながら、肝臓に分布する腹部の動脈までカテーテルを進めていきます。癌を栄養している血管にできるだけ近づき、抗癌剤や塞栓物質(詰め物)を注入します。CTを併用しながら検査を行うこともあります。
※合併症:痛み、出血、皮下血腫、肝障害(肝不全を含む)、発熱、嘔気、造影剤アレルギー(ショックを含む)、感染症、血管損傷、動脈血栓・塞栓、静脈血栓・塞栓(末梢の血管が詰まり壊死したり肺塞栓などで重症化することもあります)、消化管出血(潰瘍や静脈瘤の悪化など)などが起こりえますが、重篤な合併症を起こすことは稀です。この治療のみで癌を完全に消失させることは困難なため、繰り返し治療を行ったり、ラジオ波焼灼療法や薬物療法を併用する場合もあります。 -
薬物療法(分子標的薬、免疫チェックポイント阻害剤)
ラジオ波焼灼療法や肝動脈化学塞栓療法が適応にならない進行した肝癌や、他の臓器へ転移している場合などの治療法です。分子標的薬(ソラフェニブ、レンバチニブなど)や免疫チェックポイント阻害剤と分子標的薬の併用療法(アテゾリズマブ+ベバシズマブなど)があります。高血圧、腎障害、肝障害、大腸炎、間質性肺炎、アレルギ-、内分泌機能障害、1型糖尿病、血栓塞栓症などさまざまな副作用があるため、各種認定資格を持っている薬剤師、看護師、作業療法士、栄養士らと連携をとりながら治療を行っています。
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手術
肝癌診療ガイドラインに基づき、肝機能良好(Child-Pugh分類AまたはB)で、腫瘍数が3個以内の場合に手術の適応となります。しかし残った肝臓が十分に機能しなければ術後肝不全といった重篤な事態に陥りますので、予定肝切除量と肝機能(一般肝機能検査とICG15分停滞率)を十分検討し手術の可否や術式を決定しています。
- 片葉切除術
肝臓は2つの葉に分類され、腫瘍が存在する右葉もしくは左葉を切除します。 - 区域切除術
肝臓は4つの区域に分類され、腫瘍の存在する区域を切除します。 - 亜区域切除術
肝臓は8つの亜区域に分類され、腫瘍の存在する亜区域を切除します。 - 部分切除術
腫瘍をくりぬく形で切除します。
- 片葉切除術
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放射線療法
早期癌で切除術やラジオ波焼灼の適応とならないような場合、進行癌で門脈浸潤がみられた場合などに窩分割照射や体幹部定位放射線治療を考慮します。他の治療が不十分であった場合に救済放射線療法を考慮します。
鼠径部(そけいぶ)ヘルニア
概要
ヘルニアとは臓器の一部、または全部が体壁や体内にある隙間を通って、本来の位置から逸脱した状態をいいます。鼡径ヘルニアとは、太もも前面の付け根から恥骨あたり(鼡径部)の腹壁の筋膜が薄くなることで、隙間が生じ、腹膜や腹膜に包まれた脂肪や腸がとび出してくる病気で、昔から「脱腸」と言われています。
腹部に力を入れると足の付け根にふくらみができ、下腹に引っ張られたような痛みを感じることがあります。袋状の腹膜の中には小腸や大腸、場合によっては大網、卵巣、膀胱などが入り込みます。放置すると徐々に膨隆が大きくなり、時にとび出した腸が戻らなくなり血行障害を起こし(かんとん)、腸の壊死から腹膜炎をきたして緊急手術となることがあります。
鼠経部ヘルニアになりやすい人
- 中高年の男性、やせた高年女性
- 立ち仕事やおなかに力がかかる仕事に従事する人
- 激しい運動をする人
- 妊婦
- 便秘症、排尿障害や前立腺の病気、喘息や慢性肺疾患がある人
検査について
鼠径部ヘルニアの診断は、基本的に問診と患部の視診(目でみて観察する)・触診(手で触って調べる)です。また、場合によっては超音波検査も併用することがあります。
治療について
成人の鼠経ヘルニアは自然に治ることはなく、薬で治療することもできません。また、いったん出来てしまったヘルニアは体を鍛えるトレーニングをしても治ることはありません。ヘルニアバンドで外から押さえ込む方法もありますが、不適当な圧迫が腹腔内臓器の損傷につながることもあり、現在では勧められません。基本的にはヘルニアは手術を要する疾患と考えられています。
鼠径ヘルニアの手術には、鼠径部を3~4cmほど切開する鼠径部切開法と、腹腔内に腹腔鏡(腹腔内を調べる内視鏡の一種)を挿入する腹腔鏡下修復術の2種類が存在します。腹腔鏡下修復術は、手術による身体へのダメージが少ないため、早期の社会復帰が可能と言われています。
手術ではまず、筋肉や靭帯の隙間であるヘルニア門から飛び出してしまったヘルニア嚢(腹膜が伸びてできた袋状の膜)を、周囲の組織からヘルニア門の裏側まで十分に剥離します。そして、剥離したヘルニア嚢を切除、または元の場所へ戻し、ヘルニア門を閉鎖ないし縫縮します。以前まではヘルニア門を縫い閉じていましたが、現在はメッシュという人工の膜をヘルニア門にあてがう方法が多くなっています。
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消化器センター部長濱津 隆之 はまつ たかゆき
専門分野 消化器外科、一般外科 資格・認定・学会 日本外科学会指導医・専門医 日本消化器外科学会指導医・専門医 日本肝臓学会専門医・日本消化器病学会専門医 日本肝胆膵外科学会 がん治療認定医 出身大学 九州大学 医学部 九州大学 第二外科 一言コメント 1年ぶりに復帰いたしました。直近では済生会八幡総合病院に勤務しており、消化器外科の腹腔鏡手術・誤嚥性肺炎や尿路感染症などの内科疾患の診療を行っていましたが、当院では消化器内科・外科疾患をメインに診療を行ないます。
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消化器センター 医長山内 達雄 やまうち たつお
専門分野 消化器外科・一般外科 資格・認定・学会 日本外科学会専門医 日本消化器外科学会専門医 消化器がん治療認定医 出身大学 高知大学 医学部 一言コメント 患者さんから気軽に治療などの相談を受け、お互いの信頼関係のもとで患者さんにとって最良な医療を提供できるよう心がけています。
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消化器センター 医井本 智宏 いもと ともひろ
専門分野 消化器内科 出身大学 愛知医科大学 一言コメント 患者さんに寄り添った医療、丁寧な説明を心がけております。お気づきの症状などあればご相談ください。
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吉田 佳弘 よしだ よしひろ
専門分野 消化器外科、肝胆膵外科 資格・認定・学会 外科専門医 肝臓専門医 消化器外科専門医 臨床研修指導医 消化器がん外科治療認定医 出身大学 九州大学 一言コメント 専門は消化器外科、肝胆膵外科ではありますが、内視鏡検査やERCPなども積極的に取り組んでいきたいと考えています。
何卒宜しくお願い致します。 -
血管外科センター医及川 圭祐 おいかわ けいすけ
専門分野 一般外科、消化器外科 資格・認定・学会 フットケア指導士 出身大学 福岡大学消化器外科 一言コメント 患者さん、医療者のお互いが納得できる医療を心がけております。
午前 | 午後 | |
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月 | 濱津 山内 |
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火 | 濱津 井本 |
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水 | 古賀聡 山内 𠮷田 |
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木 | 濱津 𠮷田 |
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金 | 古賀聡 山内 |
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土 | 𠮷田 (第1〜4週) 及川 (第5週のみ) |
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